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イールドカーブコントロール

YCC(イールドカーブコントロール)とは現在日銀が行っている政策で10年国債の利回りを無理やり0.25%以下に抑えようとするオペレーションです。

これによってもう無視できないような歪みが金融市場と日本経済に生じています。

まずご存じのように、為替レート。3月以降の急激な円安はYCCによって機能不全に陥っている日本国債市場の影響が、マーケットメカニズムの働いている為替市場に向かった結果だと言えるでしょう。

日本国債市場は、日銀による無理やりなコントロールによって10年債の利回りは0.25%にはりついたまま、10月には10年国債の売買が成立しないという異常事態が起こりました。しかし10年を超える国債に対しては、日銀のコントロールがされていないために金利は10年を超えると急激に上昇するという異常な利回り曲線になっています。

またこの影響が大きく出ているのは地方債市場です。もともと地方債は国債に比べて信用度は低いので国債より利回りが高くなるのは当然ですが、11月に横浜市が発行した地方債の利回りはなんと0.499%となっています。国債より0.25%高い状況です。その後名古屋と京都に至っては0.29%高い水準となっています。

これらの地方公共団体の財政が急激に悪化した訳でもないのに急拡大しているスプレッドの意味は、日銀により統制されている10年0.25%という市場金利はもはや実態からかけ離れているとマーケットが判断していることにほかなりません。

これによってさらに考えなくてはいけないことは、現在防衛費のGDP2%に関しての財源問題が出ています。そもそも防衛費は直接に経済の発展に繋がるものでもなく、利益を創出するものではありませんので、国債に頼るなどはもってのほかだと思います。

しかし現状のように人為的に無理やり金利を抑え込み、国のお金の調達コストを下げる結果となっている状況は、莫大な財政赤字をかかえる日本にとっては都合よく、さらなる、安易な国債増発、バラマキにつながる恐れがあると思います。

来年の4月に黒田日銀総裁の任期満了となりますが、彼の続けてきている異次元金融緩和の総括はされるのでしょうか。なにもないまま逃げるのでしょうね。

とにかく、必要なことは、まずこの長期金利にたいしての直接的な管理、YCCをやめるべきだと考えています。無秩序な国債増発にもつながりかねない金融政策、放置すれば、150円が円安などと言ってられないくらいの、円売りの状況がくるかもしれません。