先日、日銀が異次元金融緩和策の一部修正を決定しました。
来年4月、総裁の任期が終了するので、どこかのタイミングで行うとは思っていましたが、まさかのサプライズバズーカーとなりました。
マーケットは今回の会合で行うとは予想していなかったため、ドル円、株、債券が急落する展開となりました。
日本国債のマーケットでは、日銀のこれまでの政策によって機能不全に陥っており、大きな歪みとなっていましたので、今回は当然の動きであり、個人的にはマーケットに屈した黒田総裁という形だと考えています。
今後の焦点としては、イールドカーブコントロールの撤廃と、マイナス金利の解除になってくるかと思います。
さて、世の中では実質利上げに舵をきったとして、これで円安の終了、円高への方向転換かといった論調が多いですがはたしてそうでしょうか。今後、日銀のさらなる引き締めへの動向によっては、一時的に円高に動く局面はあると思いますが、130円を割っていく展開では、ドルを確実に買っていく事が必要であると考えます。
日銀のバランスシートは金利が上がれば、利払いが発生する状況であり、ざっくり言いますと、金利が1%上がれば日銀の収支は5兆円悪化する状況であります。ちなみに9月末の時点での純資産は5兆円です。
国債を大量に保有して、評価損がでても、満期まで持ってれば問題ないだろうという話が良く出ていましたが、それは金利がゼロであるという状況でのこと。
実際にインフレが進み、利上げに舵を切らざるを得なくなった場合、日銀の債務超過という状態が迫ってくる可能性があります。そうなれば昨年1兆2600億円あった日銀納付金はストップされます。
そのような状況での、防衛費増額等の歳出増加。増税で賄うと言っておりますが、はたしてマーケットはどう判断するか。国債増発という方向に想像がいく事になると思います。
英国のトラス政権は、財源を明確にしないまま減税を行おうとしてどうなったか。
国債増発懸念から、マーケットはNOを突き付け、株、債券は売られ、ポンドの急落になり、トラス退陣となりました。
日本も同じ状況、いや、日銀に対するマーケットはさらなる不信感を突き付ける可能性があると考えています。日本売り。債券、株、円、全て売られる状況もありうるのではないでしょうか。
短期的には円高に振れる局面も見られると思いますが、長期的には円安は続くものと考えています。来年、再度150円を突破する場面があると思います。